よくあるご質問
借金整理の進め方のよくあるご質問
借金整理の手続を依頼すると消費者金融・信販会社からの請求は止まりますか?
当事務所より消費者金融・信販会社に対する「○○さんの借金整理に関して、当職が受任しました」との通知が届くと債権者は債務者に対して直接請求することは禁止されます。
借金の整理をするとブラックリストに載ると聞きましたが、本当ですか?
信用情報機関(通称ブラックリストといいます)に事故情報として登録されることになります。一般的に信用情報機関に登録されると5年〜7年ほど借入れをすることができなくなります。
しかし、銀行で口座を新たに開設したり、振込をおこなうことはいままでどおり可能です。
借金の整理をしていることを他人に知られることはありませんか?
原則、他人に知られることはありません。ただし、連帯保証人がいる場合は債権者が連帯保証人に請求をおこなった場合、連帯保証人には知られることにはなります。
借金の整理をしようか悩んでいますが、早めにおこなったほうが良いのでしょうか?
借金の整理をするならできるだけ早くおこなうべきです。実際に借金整理をされたかたがたは皆さん、「なぜもっと早く借金整理をしなかったんだろう…」と後悔されています。借金の整理を早くおこなえば、その分早く生活の再建ができます。
また、借金整理を開始して、過払い金があることがわかっても、本来回収できた過払い金が、時効により回収できなくなったり、貸金業者の廃業のため回収できなくなったりすることもあります。
あなたの本当の借金の金額は?のよくあるご質問
具体的には、どのようにして本当の借金の金額を計算するのですか?
依頼を受けると、当事務所から債権者に対して、取引開始時からのすべての借入・返済の取引履歴の取り寄せをおこないます。
取り寄せた取引履歴を、計算ソフトを用いて利息制限法上の金利で再計算します。
任意整理のよくあるご質問
任意整理をおこなっていることを、他人に知られる事はありませんか?
依頼した司法書士以外に知られることはありません。また、司法書士も守秘義務が課されていますので、ご安心ください。
ただし、連帯保証人がいる場合は債権者が連帯保証人に請求をおこなった場合には、連帯保証人に知られることにはなります。
分割払いは可能ですか?また、何回まで分割ができますか?
原則3年間(36回)の分割払いがひとつの目安です。交渉次第では5年(60回)以上の分割払いも可能です。
裁判所に行く必要はありますか?
任意整理手続きでは、司法書士が依頼者に代わって債権者と交渉をおこなうので、依頼者は裁判所に行く必要はありません。
借金ができた理由がギャンブルですが、任意整理をすることはできますか?
任意整理は、借金ができた理由を問いませんので、借金がギャンブル・浪費による場合でも任意整理が可能です。
和解契約にもとづく債権者への支払いはどのようにおこなうのでしょうか?
債権者の指定する口座に振り込む方法により支払います。振込手数料はご自身の負担となります。
自己破産のよくあるご質問
家族に秘密にして自己破産をしたいのですが可能でしょうか?
裁判所に提出する書類に同居者の収入を証明する書類(給与明細書・所得証明書・源泉徴収票など)が必要になります。
また家計全体の家計収支表を提出する必要があるので、事実上は難しいと思います。
勤務先の会社に知られずに自己破産をしたいのですが可能でしょうか?
勤務先の会社からお金を借りている場合には、勤務先の会社を債権者として裁判所に報告する必要があるので、裁判所から勤務先の会社に通知が届くことになります。
裁判所に行く必要はありますか?
原則、裁判所に行く必要はありませんが、借入の原因に問題(ギャンブル・浪費など)がある場合などは裁判所に行き、事情の説明を求められる場合もあります。
破産したことを戸籍・住民票に記載されますか?
記載されることはありません。
子供、両親、妻(夫)に不利益が及ぶことはありますか?
連帯保証人になっていない限りは、不利益が及ぶことはありません。
自己破産をすると自宅を手放さなければいけないのでしょうか?
自己破産をすると、所有する財産はお金に換え、債権者に分配されることになりますので土地・建物などの財産は手放さなければいけません。
どうしても自宅を手放したくないのであれば、民事再生手続(住宅ローン特則付き)を検討してみてはいかがでしょう。
なお、家財道具等の生活必需品は引き続き所持しておくことが可能です。
生命保険は、解約しなければいけませんか?
解約する必要はありませんが、解約返戻金(保険を解約したら返金されるお金)が20万円以上ある場合は、債権者に分配する必要があります。その場合、解約して債権者に配当してもいいですし、解約せずに、他の方法でお金を用意することも可能です。
将来、退職金が支給される予定ですが、退職金はどのようになりますか?
勤めている会社を退職する必要はありませんが、現時点での退職金額の証明書を取得し、現時点の退職金の金額の8分の1が20万円以上ある場合は、現時点の退職金の8分の1の金額を債権者に分配する必要があります。
(なお、管轄裁判所、申立人の年齢により債権者に対して分配する金額は異なってきます、詳しくはお問い合わせください)
自動車を持っていますが、引き続き使用することは可能ですか?
引き続き使用することは可能ですが、自動車の査定額が20万円以上ある場合は、その金額を債権者に分配する必要があります。この場合、売却してもいいですし、売却せず、他の方法でお金を用意することも可能です。
賃貸住宅に住んでいますが、破産すると退去しなければいけませんか?
賃料を支払っている限りは退去する必要はありません。
自己破産をすれば、かならず借金の返済義務はなくなるのですか?
かならず借金の返済義務がなくなるとは限りません。免責不許可事由に当てはまらない場合だけ借金の返済義務がなくなります。なお、借金の返済義務がなくなることを免責(めんせき)と言います。
免責不許可事由の例(破産法252条)
1. 自分の財産を隠したり、財産の価値をなくすようなことをした
2. 一部の債権者だけにお金を支払った
3. 借金の原因が浪費やギャンブルである
4. 嘘をついて借金をしたり、商品の購入をした
5. 裁判所に虚偽の債権者一覧表を提出した
ただし、上記にあてはまれば必ず免責不許可になるわけではなく、裁判所は、借金ができた経緯その他一切の事情を考慮して、免責を認めてくれることもあります。
手続にはどのくらいの期間がかかりますか?
裁判所に申立書を提出するまでに3〜5ヵ月、裁判所に申し立ててから3ヵ月程度です。
滞納している税金の支払い義務もなくなりますか?
自己破産をしても、税金の支払い義務は免除されませんので、法的には支払う必要があります。役所等と支払い方法について話し合いをしてみましょう。
個人再生のよくあるご質問
個人再生を利用できる条件はありますか?
将来において継続的に、または、反復して収入を得る見込みがあり、住宅ローンを除いた借金の金額が5000万円以下であることが必要です。
個人再生での分割払いは何回まで可能ですか?
原則3年間(36回)の分割払いが可能です。特別な理由がある場合は5年(60回)の分割払いも可能です。特別な理由とは、収入が少ない、子供の学費が必要などの場合です。
支払いはいつから始まるのでしょうか?
再生計画案が裁判所から認可されると、官報に掲載されます。掲載されてから2週間経過すると再生計画案が確定します。支払いは、再生計画案の認可確定の日の翌月から開始します。
支払いはどのようにおこなうのですか?
各債権者の銀行口座へ振り込む方法でおこないます。
家族に秘密にして民事再生をしたいのですが可能でしょうか?
裁判所に提出する書類に同居者の収入を証明する書類(給与明細書・所得証明書・源泉徴収票など)が必要になります。また家計全体の家計収支表を提出する必要があるので事実上は難しいと思われます。
支払額の計算の基準となる、自分が持っている総資産(清算価値)の額とはどのように計算するのですか?
住宅ローン特則とは、どのようなものですか?
住宅ローン特則とは、住宅に引き続き住み続けるために、住宅ローンは今までどおり支払い、それ以外の借金は大幅に減額し、分割して支払っていくことができる手続きです。
手続はどのくらいの期間がかかりますか?
裁判所に申立書を提出するまでに、3〜6ヵ月、裁判所に申し立ててから1年弱程度です。
個人再生したことを戸籍・住民票に記載されますか?
記載されることはありません。
子供、両親、妻(夫)に不利益が及ぶことはありますか?
連帯保証人になっていない限りは、不利益が及ぶことはありません。
賃貸住宅に住んでいますが、個人再生をすると退去しなければいけませんか?
賃料を支払っている限りは退去する必要はありません。
勤務先の会社に知られずに個人再生をしたいのですが可能でしょうか?
勤務先の会社からお金を借りている場合には、勤務先の会社を債権者として裁判所に報告する必要があるので、裁判所から勤務先の会社に通知があります。
滞納している税金も減額されますか?
個人再生手続をおこなっても、税金は減額されませんので、法的には全額支払う必要があります。役所等と支払い方法について話し合いをしてみましょう。
生命保険は、解約しなければいけませんか?
解約する必要はありませんが、解約返戻金(保険を解約したら返金されるお金)がある場合は、解約返戻金の額を自分の持っている資産(清算価値)として計算します。
自家用車を持っていますが、引き続き使用することは可能ですか?
引き続き使用することは可能ですが、査定額を自分の持っている資産として計算します。
再生計画案の決議とはどのようなものですか?
債権者による再生計画案の決議は、裁判所に対して再生計画案に同意しない旨を書面で回答する方法によりおこないます。再生計画案に同意する債権者は書面を提出する必要はありません。次の①②の場合には再生計画案は否決され、個人再生手続は終了となります。
①再生計画案に同意しない債権者が半数以上いる場合
②再生計画案に同意しない債権者の債権額が総債権者の債権額の2分の1を超えた場合
しかしながら、債権者が同意しないことはまれであり、ほとんどのケースで再生計画案に同意していただいています。当事務所では再生計画案が否決されたことはありません。
給与所得者等再生とはどのような手続ですか?
個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの方法があります。
給与所得者等再生とは、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり、その収入が給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあるものであって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれる方が利用できます。
通常の手続である小規模個人再生との違いは、再生計画案に対する債権者の同意(決議)が不要なことがあげられます。しかしながら債権者の同意に代わる条件として可処分所得要件というものが定められており、この可処分所得要件にもとづいて返済額を計算すると、小規模個人再生手続と比べ、返済額が高額になる場合が多いです。
小規模個人再生手続によっても、再生計画案が否決されることはほとんどないため、当事務所ではほとんどのかたが小規模個人再生手続を選択されています。
過払い金請求のよくあるご質問
すでに完済していますが、過払い金請求は可能ですか?
完済している場合でも可能です。
裁判をする場合は、印紙代、切手代が必要と聞きましたがいくらくらいかかるのですか?
神戸簡易裁判所に100万円の過払い金請求の裁判をおこなう場合、収入印紙は1万円、切手代は5,035円です(ただし、切手代は管轄裁判所により異なります)。
亡くなった後、相続で揉めないようにしたい(遺言)
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは何ですか?
自筆証書遺言は、遺言者がご自身で遺言の全文を手書きし、日付、氏名を記入のうえ押印する方法で作成する遺言書です。
公正証書遺言は、遺言者が、公証人と2人以上の立会人の下で遺言の趣旨を述べて、公証人が筆記したものを読み聞かせ、全員がこれに署名押印する方法で作成する遺言書です。
自筆証書遺言のメリット
・(公証人に払う)作成費用がかからず、また作成も簡便で、紙とペンと印鑑があれば容易に作成できます。
自筆証書遺言のデメリット
・作成が容易である反面、様式は厳格です。作成の方式を誤るとせっかく作成した遺言が無効になってしまうこともあります。
・公正証書遺言と較べ、偽造や変造がされやすいです。また、紛失や滅失のおそれもあります。
・遺言内容の真意が争われる可能性があります。
・遺言者が死亡した後、家庭裁判所で、相続人などの立会のもと開封する「検認手続き」をおこなう必要があります。検認手続きは、家庭裁判所に申立をおこなう必要があり、相続人全員の戸籍、遺言者の出生から死亡までの戸籍などを提出しなければならず、費用も時間もかかります。
公正証書遺言のメリット
・公証人が作成してくれるので、方式の不備で遺言が無効になる可能性が低いです。
・公正証書遺言の原本は公証役場で保管されます。遺言者には正本・謄本が交付されます。万一、紛失しても何通でも発行してもらえます。また、偽造や変造がされにくいといえます。
・公証人と立会人が作成に関与することで、後日遺言内容の真意が争われる可能性が低いといえます。
・公正証書遺言は、自筆証書遺言のように検認手続をおこなう必要はありません。従って、検認手続きのため相続人全員の戸籍などを集める必要もありません。遺言者の死亡後にすみやかに遺言の実現に動くことができます。
公正証書遺言のデメリット
・作成時に、公証人に公正証書遺言作成費用を支払う必要があります。また、立会人を用意したり、印鑑証明書などの書類を提出する必要があります。
当事務所では公正証書遺言の作成をお勧めしています。
法定相続分とは何ですか?
法定相続分とは、遺言がない場合に適用される、法律で定められた相続分のことです。
相続人 |
法定相続分 |
第1順位 |
配偶者と子※1 |
配偶者 |
2分の1 |
子 |
2分の1 |
第2順位 |
配偶者と親※2 |
配偶者 |
3分の2 |
親 |
3分の1 |
第3順位 |
配偶者と兄弟姉妹※3 |
配偶者 |
4分の3 |
兄弟姉妹 |
4分の1 |
※1 子供が亡くなっている場合は、孫がいれば孫が相続人となります。
※2 父母が亡くなっている場合は、祖父母がいれば祖父母が相続人となります。
※3 兄弟が亡くなっている場合は、その子供(遺言者からみて甥姪)が相続人となります。
※子供や、親、兄弟が2人以上いる場合は、それぞれ頭割りとなります。たとえば、配偶者と子供が2人いる場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子供の法定相続分は4分の1ずつとなります。
遺留分とは何ですか?
遺留分とは、被相続人(亡くなったかた)の遺言の内容にかかわらず、配偶者・子供・両親などの法定相続人が遺産の一部を取得できるよう、法律で定められた権利の割合を言います。ただし、兄弟姉妹には遺留分はありません。
たとえば、妻と子供が1名ずつの場合に、亡夫が遺言書に「全財産を友人Aに遺贈する」と書いていても、妻や子供は、一定期間内であれば遺留分の範囲内で財産の返還を求めることができます。この場合、妻の遺留分は4分の1、子供の遺留分は4分の1となります。
なお、相続人の遺留分を侵害する遺言も無効ではなく、遺留分の権利を行使するかどうかは相続人(遺留分権利者)の自由です。
どのような場合に遺言を書いておくとよいですか?
次にあてはまる場合には、遺言書を作成することをお勧めします。
@子供がいない場合
A相続人でないが、財産を遺したい者がいる(内縁関係のパートナー、介護をしてくれた長男の妻など)
B兄弟や甥姪などの相続人に相続させたくない者がいる
一度作成した遺言書を書き直したい。
一度つくった遺言書は、後から書き直すことが可能です。(遺言の撤回といいます)
たとえばAさんに全財産を遺贈しようと思い、遺言書を作成したが、何年か経ってやっぱりBさんに遺贈したいと気持ちが変わったような場合には、新たに遺言書を作成することで前に作成した遺言は効力を失います。
母が認知症により判断能力が衰えてきた(法定後見・後見申立)
後見人・保佐人・補助人とは何ですか?
法定後見制度には、判断能力の低下の程度に応じて、後見・保佐・補助の3つの類型があります。「後見」は日常的に必要な買い物も自分ではできず、誰かに代わってやってもらう必要がある状態、「保佐」は日常の買い物程度は自分でできるが、金銭の貸し借りなど重要な財産行為は自分ではできない状態、「補助」は金銭の貸し借りなどの重要な財産行為を自分でできるかもしれないが、できるかどうか心配な状態をいいます。これらの類型に応じて後見人(または保佐人・補助人)に就任した後の権限の幅が異なってきます。
後見人・保佐人・補助人の権限の違いを教えてください。
後見人は、財産管理についての全般的な代理権、取消権があります。
保佐人は、特定の事項(借金、不動産の購入や売却など)についての同意権、取消権があります。ご本人の了承があれば、特定の法律行為(預貯金や不動産の管理など)に代理権を付与してもらうことが可能です。補助人は、ご本人の了承があれば、特定の事項に同意権、取消権を付与してもらったり、特定の法律行為に代理権を付与してもらうことができます。
※日常生活に関する行為は同意権、取消権の対象となりません。
後見開始の申立人には誰がなれますか?
申立人には、ご本人、配偶者、4親等内の親族がなることができます。
後見開始の審判の申立をおこなう場合、ご本人に申立能力が確認できないとなると、ご本人を申立人とすることは難しいと思われます。4親等内の親族がいない等の場合、市長申立の可否を検討することになりますが、選任までかなりの時間を要することになります。
後見人の報酬はどのように決まるのですか?またどのくらいですか?
後見人の報酬は、家庭裁判所が決定します。後見人が一定期間後見業務をおこない、家庭裁判所に「報酬付与の申し立て」をおこないます。家庭裁判所は、後見事務の難易や活動期間、ご本人の財産などを総合的に検討し、後見人の報酬額を決定します。後見人は、審判により定められた報酬をご本人の財産の中から受領します。
そのため、どのくらいとの決まりはありませんが、後見人で2000万円程度の資産をお持ちのかたであれば、月額3万円〜4万円ぐらいが目安と思われます。
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートとは何ですか?
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートは、高齢者・障がい者等の権利を擁護することを目的に、司法書士を正会員として設立された公益社団法人です。現在、兵庫県内の司法書士のうち約45%がリーガルサポートの会員です。
リーガルサポートでは、家庭裁判所に「後見人等候補者名簿」を提出しており、会員がこの名簿に登載されるには、後見業務をおこなうために必要な、後見人倫理や法律・医療・福祉などの所定の研修単位を取得し、一定期間ごとに研修単位の更新が義務づけられています。
また、会員が後見人などに就任した事件については、家庭裁判所への報告のほか、一定期間ごとにリーガルサポートに報告し、指導監督を受ける必要があります。
リーガルサポートの会員ではない司法書士が後見人になれないわけではありませんが、リーガルサポートの会員であることで、より高い信頼性を保つことができると思います。
身寄りがないので老後が不安だ(任意後見)
任意後見人はいつから活動を始めるのですか?
任意後見人は、将来、ご本人の判断能力が衰えたときに、任意後見契約受任者などから、家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任の申立をおこないます。任意後見監督人が選任されることによりはじめて、任意後見人として支援をスタートします。
「任意代理契約(財産管理委任契約)」について教えてください。
「任意代理契約(財産管理委任契約)」は、任意後見が開始される前に、ケガや病気により、支援が必要となった場合の契約です。
任意後見人は、裁判所から選ばれた任意後見監督人の監督のもとで活動しますが、任意代理人は、裁判所の監督のもとで活動するわけではありません。そのため、当事務所は、任意代理契約の利用は慎重におこなうべきと考えております。代理権の範囲は、原則として日常業務および身上監護に関する業務に限定しています。(管理する通帳は必要最小限にとどめさせていただきます。全財産の包括的な管理はいたしません)
また、任意代理契約を締結する際には、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートが立会人として関与することとなります。
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートとは何ですか?
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートは、高齢者・障がい者等の権利を擁護することを目的に、司法書士を正会員として設立された公益社団法人です。現在、兵庫県内の司法書士のうち約45%がリーガルサポートの会員です。
リーガルサポートでは、家庭裁判所に「後見人等候補者名簿」を提出しており、会員がこの名簿に登載されるには、後見業務をおこなうために必要な、後見人倫理や法律・医療・福祉などの所定の研修単位を取得し、一定期間ごとに研修単位の更新が義務づけられています。
また、会員が後見人などに就任した事件については、家庭裁判所への報告のほか、一定期間ごとにリーガルサポートに報告し、指導監督を受ける必要があります。
リーガルサポートの会員ではない司法書士が後見人になれないわけではありませんが、リーガルサポートの会員であることで、より高い信頼性を保つことができると思います。
父が多額の借金を残して亡くなった。(相続放棄)
相続放棄をしようと思っていますが、いつまでにする必要がありますか?
自分のために相続があったことを知ったときから3か月以内におこなう必要があります。
相続放棄をすることによって、なにか不利益はありますか?
原則として、相続放棄をすると、あとから一旦おこなった相続放棄を撤回をすることは認められません。後日、財産があるとわかった場合でもその財産を相続することはできません。
また不利益ではありませんが、相続人が子供だけの場合に、子供が相続放棄をすると、第2順位の親が相続人となるので、次に親が相続放棄を検討する必要があります。親が相続放棄をすると、第3順位の兄弟姉妹が相続人となるので次に兄弟姉妹が相続放棄を検討する必要があります。
父が亡くなってから3か月を経過してから請求書が届きました。まだ相続放棄ができますか?
突然請求書が届き、借金があることが判明した場合や、子供が相続放棄した結果、兄弟である自分が新たに相続人となったことを知った場合のように、亡くなってから3か月経過していても相続放棄が可能な場合があります。まずはあきらめずにご相談ください。
一方で、3か月以内であっても被相続人の財産を処分してしまうと相続放棄ができなくなる場合がありますのでご注意ください。
父が亡くなって、もうすぐ3か月になりますが、まだ財産と借金が確定できておらず相続放棄をおこなうべきかどうかわかりません。この場合どのようにしたらよいでしょうか?
相続放棄は自分のために相続があったことを知ったときから3か月以内におこなう必要がありますが、財産の調査等で必要な場合は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てることによって、期間を3か月以上に伸ばしてもらうことも可能です。
兄弟で遺産分割協議をした結果、兄が全財産と全債務を承継することとなりました。
借金は私には関係ありませんか?
相続人全員で話し合い、ある相続人が全財産を受け取る代わりに全負債を承継することを取り決めても、他の相続人は債権者にそのことを理由に支払いを拒否することはできません。負債を承継しないようにするためには相続放棄が必要です。
相続放棄をおこなったことを債権者にどのように証明すればよいですか?
相続放棄が受理された後は、必要があればいつでも、管轄の家庭裁判所で「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらうことができます。
亡くなった父名義の土地を相続した(相続登記)
亡くなった父名義の不動産がありますが、名義変更はいつまでにおこなわなければいけないのですか?
不動産の名義変更には相続登記が必要になります。令和6年4月1日からは相続登記が義務化され、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料を科されることがあります。
相続登記をせずに放置しておくと、あらたに相続人が増え、遺産分割協議(不動産を誰の名義にするかの話し合い)がうまくいかない、相続登記に必要な除籍謄本や戸籍附票などの保存期間が切れてしまい、手続が複雑になる、などのおそれがあります。
相続にはどのような方法がありますか?
相続には、主に、法定相続分に応じた相続登記をおこなう方法と、相続人全員で話し合って(遺産分割協議)法定相続分と異なる割合で相続登記をおこなう方法と、遺言に従って相続登記をおこなう方法があります。
各相続の方法ごとに、必要な書類が異なりますので、事前にお気軽にお尋ねください。
法定相続分とは何ですか?
法定相続分とは、遺言がない場合に適用される、法律で定められた相続分のことです。
相続人 |
法定相続分 |
第1順位 |
配偶者と子※1 |
配偶者 |
2分の1 |
子 |
2分の1 |
第2順位 |
配偶者と親※2 |
配偶者 |
3分の2 |
親 |
3分の1 |
第3順位 |
配偶者と兄弟姉妹※3 |
配偶者 |
4分の3 |
兄弟姉妹 |
4分の1 |
※1 子供が亡くなっている場合は、孫がいれば孫が相続人となります。
※2 父母が亡くなっている場合は、祖父母がいれば祖父母が相続人となります。
※3 兄弟が亡くなっている場合は、その子供(遺言者からみて甥姪)が相続人となります。
※子供や、親、兄弟が2人以上いる場合は、それぞれ頭割りとなります。たとえば、配偶者と子供が2人いる場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子供の法定相続分は4分の1ずつとなります。
家を買うことになった。(売買登記)
登記識別情報とは何ですか?
これまで、登記が完了すると、不動産を取得した新たな所有者に対し、登記済証(法務局の印鑑が押された書面)が交付されていました。これがいわゆる「権利書」です。「権利書」は、不動産を売却したり担保に入れるような場合、法務局に提出する必要があり、提出する者が間違いなくその不動産の所有者であることを示す重要な書類でした。
平成17年に不動産登記法の大改正がおこなわれ、以後、法務局より権利書は交付されず、代わって、「登記識別情報」が交付されることとなりました。
登記識別情報は12桁の英数字の組み合わせでできており、目隠しシールが貼られています。不動産を売却したり担保に入れるような場合、権利書に代わってその12桁の英数字(登記識別情報)を法務局に提出することになります。12桁の英数字を第三者に見られたり、コピーされたりすると、従来の権利書が盗まれたのと同様の効果が発生しますので、必要なときまで目隠しシールははがさず、厳重に管理することをお勧めします。
なお、既に今お持ちの権利書は使えなくなるわけではありません。これまでどおり、不動産を売却するような場合には、登記申請に必要となりますので大事に保管してください。(次の購入者には、登記識別情報が交付されます)
権利書を紛失したようなのですが…
登記識別情報や権利書を紛失した場合、司法書士がご本人に面談し、運転免許証などのご本人確認をおこなうことで、登記識別情報(権利書)に代わる「本人確認情報」を作成することができます。
不動産売買にかかる税金について教えてください。
不動産の売買に必要な税金として、登記に必要な登録免許税のほか、売買契約書を作成した場合は契約書に貼付する印紙税がかかります。買主には不動産取得税がかかる可能性があります。売主は、不動産の売却により利益が出た場合、譲渡所得税が課税される可能性がありますのでご注意ください。
固定資産税・都市計画税は、売買日までの日割り精算をおこなうことが一般的です。
税金の軽減を受けられる場合はありますか?
居住用の建物を購入する場合、登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降で、床面積の合計が50㎡以上の場合、登録免許税や不動産取得税の大幅な軽減措置を受けることが可能です。この要件を満たさずとも軽減措置を受けられる場合もありますので、まずはお気軽にお尋ねください。
司法書士に支払う登記費用にめやすはありますか?
従前は、司法書士の報酬は、法務大臣によって定められた「報酬規定」(その後「報酬基準」)によって定められており、これと異なる報酬を受領すると会則違反で処罰されていた時期がありました。現在は自由化に伴い、報酬基準は廃止されていますが、現在も報酬基準をベースにした報酬表を使用している司法書士事務所が多いと思われます。当事務所も報酬基準をベースにした報酬計算をおこなっております。
離婚することになった。妻に不動産を財産分与したい(財産分与登記)
財産分与にかかる税金について教えてください。
通常、年間110万円を超える贈与をする場合、贈与をうけるかたに贈与税が課税されます。財産分与の場合には、妥当な額である限り、分与を受けるかたに贈与税は課税されません。しかし、不動産取得税は課税される可能性があります。また、分与するかたにも、購入した時より譲渡した時のほうが不動産の金額が高い場合、分与する側に譲渡所得税が課税される可能性がありますのでご注意ください。
財産分与を請求する際に気をつけることはありますか?
離婚の際には、財産分与とともに、親権・慰謝料・養育費についても併せて取り決めるのが一般的です。話合いでまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停の申立てをおこなうことになります。なお、財産分与は離婚から2年を経過すると時効により請求できなくなりますのでご注意ください。
住宅ローンが残っている、夫名義のマンションを財産分与で譲り受けたい。
分与する不動産に住宅ローンが残っている場合、金融機関の約款で名義の変更を禁止している可能性があります。このような場合、事前に金融機関に名義変更することについて確認しておく必要があります。
マンション管理組合の理事長をしているが、管理費滞納者がいて困っている。(管理費請求)
滞納管理費を確実に回収できますか。
もし回収できないのであれば法的手続をおこなう必要性はあるのですか?
通常、管理費の滞納者は、多重債務に陥っている、仕事がないなどでやむを得ず支払えない人が多く、管理費の回収には困難が伴います。しかし、(支払督促や和解を含む)訴訟手続きをおこなうことで、時効を中断することができます。このことからも、滞納管理費の問題を、回収の困難を理由に放置することは好ましくありません。
管理費の請求手続きを依頼したい。事前に確認しておくことはありますか?
理事会で、当事務所に管理費請求の請求を依頼される場合、下記の点ご確認ください。
@管理費・修繕積立金等の滞納金額が140万円以下ですか?
司法書士は140万円以下の請求について、代理人となることができます。
A滞納組合員は、その建物に居住していますか?滞納者の職業等の情報はありますか?
滞納組合員に訴訟手続きをおこなう場合、訴状等がきちんと届くかは大切なポイントです。滞納組合員が遠隔地に住んでおり、訴状が届くかどうか不明であるような場合、現地調査などで想定以上に費用がかかることがあります。
また、勝訴しても相手方が任意に支払わない場合、強制執行手続きを検討することになります。滞納組合員が建物を賃貸していたり、就業先が判明しており、賃料や給与を差し押さえることができれば、回収の可能性は飛躍的に高まることになります。
B管理規約をご確認ください。次の条項はどうなっていますか?
・裁判手続をおこなう場合の弁護士(司法書士)費用を滞納者が負担する旨の違約金の定めはありますか?
管理規約にこの定めがされていれば、司法書士への手続費用を併せて相手方に請求できます。
例:「組合員が第○条第○項に定める期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士(司法書士)費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に請求することができる。」
・訴訟手続き等の決議権限は、理事会となっていますか?
管理規約にこの定めがされていれば、迅速かつ弾力的な手続きをおこなえます。
例:「理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。」
ご確認いただいた管理規約にこれらの規程が定められていない場合、事前に総会を開催し、規約改正をおこなっておくことで、スムーズな請求手続きをおこなえます。その他、改正しておいたほうがよい点もアドバイスいたしますので、規約改正の総会を開催する前に、あらかじめご相談ください。
家主だが、賃借人が家賃を滞納しているので出て行って欲しい。(建物明渡し)
司法書士に手続きを依頼するにあたって注意することはありますか?
建物明渡請求の請求額の算定は、明け渡しを求める建物の固定資産評価証明書の評価額の2分の1を基準として算出します。たとえば、固定資産評価額280万円であれば、その2分の1は140万円以内ですから、認定司法書士は代理人となることが可能です。(滞納賃料の額は算定の基準には含まれません。この場合に家賃の滞納が200万円あっても、代理人となることが可能です)
また、アパートの場合は、建物全体の評価額ではなく、明け渡しの対象となる部屋の床面積割合で算定することになります。
連帯保証人への請求は、滞納賃料の額が140万円までであれば、代理人となることが可能です。
なお、建物の固定資産評価証明書の評価額が280万円を超え、管轄が地方裁判所になった場合には、本人訴訟支援をとおして、お手伝いすることになります。
賃借人が行方不明ですが、別途なにか手続きが必要となりますか?
賃借人が行方不明であるような場合は、行方不明者に対して訴訟をおこなう「公示送達」による手続きが必要となります。